朱莉さんの不可解な一週間
「仕事だったんですか?」

ようやく話した先生の声は低い。


え?――って聞き返しながら見つめた顔は真剣。


でも、それだけ心配してるって思いは伝わってきて、申し訳ない気持ちになった。


「刑事さんに事件があった場所を聞きました。会社の近くでしょ? 仕事してたんですか?」

「あー、まぁ……仕事っていうか、会社にいたっていうか……」

「他の人はいなかった?」

「へ?」

「他に買い物を頼める人はいなかったのかと聞いてるんです」

「……いなかった」
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