朱莉さんの不可解な一週間
「ひとりで会社に?」

「うん」

「……」

睨むってほどじゃないけど、鋭い視線を向けた先生は、「とりあえず話は明日にして、今日のところは帰りましょう」と公道に出る。


そして、その後ろをついて行くあたしに振り返ると、


「家までタクシーで送ります」

当たり前のように、一番困る事を口にした。


「い、いや、会社に戻らなきゃいけなくて……」

「会社?」

「ほ、ほら、だってほら。鞄とかまだ会社だし」
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