朱莉さんの不可解な一週間
ご近所迷惑もいいとこだって冷静になってしまうほどの大きな怒鳴り声だった。


しかも先生は怒鳴ったついでにローテーブルを思いっきり叩いたから、ドンッって大きな音までして、下の階の人が文句言いにくるんじゃないかって焦るほどだった。


だけどそんな焦りを感じるのはあたしだけらしく――。


「僕が君に求めてるのはそんな『大人』じゃない!!」

先生は怒鳴る音量を下げない。


思わず「まぁまぁ、落ち着いて」なんて言ってしまいそうになるくらい、ヒートアップしてる先生の表情を見て、完全に熱が覚めた。


それがよかったのかもしれない。


釣られてヒートアップしなかったのが(こう)(そう)したと思われる。
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