朱莉さんの不可解な一週間
「可愛い!? 男なのに可愛いの!? 可愛いってどんな風に!?」

「どんな風って言われても……」

「全然記憶にないんだけど!?」

「くるみちゃんのタイプではない感じだったかな」

「なら、記憶になくて当然なんだけど!?」

「えー、でも――」

「あんたが『ベビーフェイス』って呼んでた先生よ」

一葉が「でも」の後に、「朱莉ちゃんの好きだった人」なんて言い出すんじゃないかと思って、話に割って入ったあたしの言葉に、くるみは「んー」って(うな)って考えるように眉間に皺を寄せる。


そしてその表情を数秒してからパッと(ひらめ)いたように目を見開くと、


「分かった! やたらボーッとしてた先生だ!?」
< 31 / 324 >

この作品をシェア

pagetop