朱莉さんの不可解な一週間
あの頃と変わらない、男の人にしては凄く穏やかで柔らかい物腰の瀬能先生は、見てくれもあの頃と変わらない。


確かあの当時で26歳くらいだったから、今じゃもう30を超えてるはずなのに、元々童顔だからな所為(せい)か年相応には見えなくて、ギリギリ20代って言っても通じるって感じ。


ただあの頃より垢抜けた気がする。


あの頃の先生は新任だったからか、いつもどこか顔に緊張の色があった。


「先生、夕飯の買い物?」

先生が持ってるカゴを覗いてみると、中にはお茶のペットボトルとかカップラーメンがゴロゴロしてて、


「夕飯と夜食です」

先生は少し照れ臭そうにそう言うと、「吉岡さんは?」と聞いてくる。


その言い方にほんの一瞬、高校時代の淡い想いを思い出した。
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