朱莉さんの不可解な一週間
「しかもあたし、そういう格好してないんだけど」

「格好?」

「ああいう店って服装とか気になるもんでしょ」

そう言って指差したあたしの体には、Tシャツとジーパン。


くるみが「おっさん」と呼ぶあたしの足元は、その呼ばれ方を肯定するかのように運動靴。


ミュールなんて一足も持ってないあたしは年中同じ運動靴で、この履き潰した靴も買って2年になる。


「そういうの気になりますか?」

「なるでしょ、普通」

「可愛いですね」

先生はクスクスと笑いながら、お絵かきをした子供に「上手だね」って言うような口調で、あたしが言われ慣れてない言葉をサラッと言ってのける。
< 52 / 324 >

この作品をシェア

pagetop