朱莉さんの不可解な一週間
レジに向かって歩き出した先生に追い付いて財布を取り出した。


「誘ったのは僕なので」

そう言って、あたしの動きを制しようとした先生の手。


だけどあたしは更にその先生の手を止めた。


「だから、教員って給料少ないんでしょ? 無理しなくていいじゃん。割り勘にしよ」

「ですが――」

「いいって! あたしもう学生じゃないし、ここの払い出来るくらいにはお給料もらってる」

受け手にとっても、それを聞いてた周りにとっても可愛げがないって思う事を口にしたあたしを、


「では、ここは割り勘で」

流石というべきか先生は(わきま)えた態度で受け入れた。
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