朱莉さんの不可解な一週間
「ファッション雑誌の編集者って、何だかよく分かりませんが凄いですね」

「でしょ? でもかなり大変みたい。撮影だの編集作業だの出張だのって、あたし達の中であの子が一番忙しいんじゃないかな?」

「吉岡さんも充分忙しそうですが?」

「あたしの場合はこんな雑用が中心だし、体力には自信あるしね」

「バレーはもうやってない?」

「うん。きっぱり辞めた」

「そうですか」

「もったいないって思う?」

「いえ。今とても充実されてるようなので、そうは思いません」

優しい笑みを浮かべた先生はそう言って、レジの前に出来た列にあたしを先に並ばせる。
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