朱莉さんの不可解な一週間
だからって、同じように居酒屋気分で「うん、決まった」なんて言えるほど、あたしって人間は図々しく出来てない。


奢《おご》ってくれるって分かってるから尚の事、そんな事言えない。


むしろ、何にも決まってない。


こんな所で何食えばいいのか分かんない。


2000円もするサラダに何が入ってんのかも想像出来なくて、さっきから思うのは「育て方!? 野菜の育て方が違うの!? 育て方の違いが値段の違い!?」って事くらいで、食べたいなんて思わない。


だから。


「ね、ねえ、先生」

あたしがまた小声で呼ぶと、先生は「はい?」ってメニューを下げる。
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