朱莉さんの不可解な一週間
「いえ。違います」

終始ニコニコ笑ってる先生は、「決まらないようでしたら僕が決めてもいいですか?」ってメニューを閉じる。


そして、反射的に「あっ、うん」って言ってしまったあたしににっこりと笑ってから、軽く手を挙げて近くにいたギャルソンを呼ぶと、コース料理とワインを頼んだ。


注文を受けたギャルソンが先生とあたしからメニューを取って去っていく。


だから結局先生の頼んだコース料理がいくらなのかは確認出来なかった。


でも、その方がよかったのかもしれない。


確認したらしたで値段の高さに泡を食ってたかもしれない。


それでなくても落ち着かないのに、もっと落ち着かなくなってたかもしれない。
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