朱莉さんの不可解な一週間
だからって、コース料理がいくらなのか分からないにしても、落ち着かない気持ちが減ったりはしないんだけど。


慣れない場所と雰囲気に、どうしても普段の自分が取り戻せなくて、何とか落ち着こうと目を向けた窓の向こうには夜景。


会社があるこの街を今まで綺麗だと思った事はなかったけど、高い場所から見るこの街は妙に綺麗だった。


こんなものなのかもしれない。


汚い部分は夜の闇に隠されて、どこの街もこんな風に綺麗に見える物なのかもしれない。


高い場所に行けば行くほど、細かい物は見えなくなって、全体としては綺麗な部類に入ってしまうのかもしれない。


そうだとしたら、あたしも先生にそう映ってるんだろうか。
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