いつか淡い恋の先をキミと
詰めてしまったその距離に、
翌週の月曜日。


今日から週番の当番じゃないことにすこしがっかりしながらも、あたしは陽ちゃんや翼と一緒に登校していた。


「くるみ、目の下に隈が出来てるんじゃない?」


やっぱりバレたかぁ、そう思いながら目を押さえた。


「そうなの。ちょっと夜更かししちゃって…」


「何してたの?」


翼のその問いにどう応えようか悩んだけど、やっぱり本当のことを言うのはやめておいた。


「録画してたドラマ観てたの」


「そっか」


「ドラマなんか観てる暇あったらベンキョーしろ、ベンキョー」


「それ陽ちゃんにだけは言われたくないよ!」


いつも何かしら言ってくる陽ちゃんに反論しながらも、早く昨日の続きが読みたいと心の中では思っていた。


榛名くんに借りた本。


今、まさに読みかけのその本。


昨日夜更かしして全部読もうと思ったけど、結局寝落ちしてしまって途中までしか読めなかった本。


榛名くんが『大切』だと言ったその本は、20年くらい前に刊行されたもので少し古い。


だけどその本を今でも大切にしている榛名くんを見ると、そこには人間性が表れているような気がした。


そんな榛名くんを思い出しただけでキュンとなってしまった胸を抑えながら、教室の扉を開けるとやっぱり榛名くんはいつもの場所でいつものように本を読んでいた。


しばらく見つめていたけど、どうやらあたしに気付かない榛名くん。


よくよく考えればみんながいる前で堂々と一緒に会話をしたことはない。
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