いつか淡い恋の先をキミと
そんな当たり前のことに今更ながらに気が付いて、クラスのみんなと群がったりしない榛名くんがあたしなんかと一緒にわざわざ休み時間に喋ってくれるはずがないか、とやや自虐的になってしまった。


「おはよー、くるみ!」


そしてそんなあたしのちょっとした負の感情を払拭してくれるかのように朝の挨拶をしてきてくれた響子に「おはよ、テンション高いね?」そう切り返す。


「そうなの!さっきね、割とイケメンから告られた!」


「え、うそ!?それでどうしたの?」


「んー、フった!」


「え!?じゃあなんでテンション高いの!?」


「いやー、あたしってさ、ぶっちゃけ美人じゃん?でも告白してくる奴らはなーんか冴えない男ばっかりでさ、あたしの需要はそこにしかないのかって思ってたから嬉しかったっていうかなんていうか」


自分のことを自分で美人だって言っちゃうような響子だけど、確かにそれは否定できないし、そんなキャラの響子のことをあたしたちみんなは嫌いじゃない。


こうやって身の上話を面白おかしく話してくれるし、割と機転が効くところもみんな知ってる。


「なになに、何の話してんの?」


現にこうやってあたしと響子が盛り上がってるところに、いつものメンバーだけでなくクラスの人たちも混ざってくる。


「あたしが朝っぱらからイケメンに告白されたって話よ。聞きたいなら聞かせてあげるわよー」


少し調子に乗り出した響子に更にみんなが調子に乗らせるようなことを言うから、もう場は先生のホームルームが始まるまで収集がつかない状態。


だからあたしも適当に場をしのぎながら、すこし榛名くんの席に視線を向けるとやっぱり君はそこにいた。


分かり切ったこと。


君がクラスの輪に混ざることはない。


新学期が始まってから一度だってみんなでワイワイしてる所に君は来ない。
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