いつか淡い恋の先をキミと
あ、知っててくれたんだ。


そんな些細なことが嬉しい。


「ぜ、全然いいの!だってあたしが榛名くん追いかけて来たんだもん!」


「……」


「……あ、あたし何言ってんだろ…、ゴメンね、」


「一ノ瀬さんって変わってるよね」


「え!」


「だって俺のこと追いかけてくれる人なんて、クラスで一ノ瀬さんだけだよ、きっと」


「そう…かな、」


「そうだよ。週番の人は例え俺が最後まで残ってたとしても俺に喋りかけたりなんかしないよ、一ノ瀬さん以外はね」


「……」


「みんな俺が本にしか興味がないって認識したら誰一人として話しかけてなんか来ないのに」


「……あたしは、二年生になってからずっと榛名くんに話しかけたいって思ってたよ。どんな本読むんだろうって、ずっと気になってたの」


「一ノ瀬さんって本当変わってる」


「一日中読者してる榛名くんには言われたくないよー」


「それもそうだね」


ちょっとした段の所に二人で並んで座って、ごく普通に笑い合うことが出来たのは初めてで心が踊る。


「あのね、榛名くん。だから、その、本当に迷惑じゃなかったら…これからもこうやって色んな楽しいお話出来たらな、って……ダメかな?」


「……ダメじゃないよ」


「え、本当!?」
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