いつか淡い恋の先をキミと
「うん。一ノ瀬さんが俺と話してて楽しいなら全然ダメなんかじゃないよ」


「ありがとう、榛名くん!嬉しい!」


思わず立ち上がって榛名くんの方を向いてしまったあたしは、


「……あ、ゴメンね、一人だけテンション高くなっちゃって…」


恥ずかしくなって逆に冷静な気持ちになってきた。


バカだ。


バカ過ぎる。


なんですぐに喜びを表現しちゃったんだあたしは。


「なんていうか一ノ瀬さんって、やっぱり可愛いね」


え……。


あ、ヤバい。


今物凄くトキメいたって感じがしたっ!


可愛いね、って。


……もう、顔がニヤけてるかもしれない。


「それに一ノ瀬さんって向日葵みたい――あ、花の方ね」


「花?」


「一ノ瀬さんが好きな本のヒロインの向日葵じゃなくてって意味だったんだけど…でも一ノ瀬さんも好きな人には向日葵みたいに一途なんだろうなって思うよ。だけど俺が言いたかったのはね、いつも笑顔でみんなに優しくて愛されてる一ノ瀬さんは向日葵みたいだなって」


「……」


「ちょっと分かり辛かったかな、」


「ううん、ちゃんと分かったよ。ちゃんとあたしの胸に届いたよ。ありがとう、物凄く嬉しい」


花の向日葵とあたしの好きな本のヒロインである向日葵。


ちゃんと榛名くんがどちらの意味で使ってるのかはしっかりと理解できた。


そしてそんなことを榛名くんに言ってもらえたあたしは今にも飛んで行きそうな勢いで喜んでる。


っていうか、素面でしかも真顔でそんなことが言えちゃう榛名くんって「魔性の女」ならぬ「魔性の男」かもしれない。


そんな嬉しいことだらけの屋上での時間はあっという間に過ぎてしまい、取り敢えず明日の放課後に教室で残る約束をしてあたしたちは教室へ戻った。


そして放課後六人で一緒に帰っている時、


「そう言えばくるみ、昼休み何処行ってたの?」


悠実が突然そんなことを言いだして、


「なんか俺、お前が男子トイレの前で突っ立ってるって誰かから聞いたんだけど」


拓哉もあたしが一瞬冷や汗掻いちゃうようなことを言い出して、


「あたしはあんたが図書室の前で男の子のシャツ掴んでたって聞いたよ?」


すると響子も自分が仕入れた情報を喋り、
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