いつか淡い恋の先をキミと
「感想聞かせてもらってもいい?」


「――うん!」


聞かせて、と言われる程の大した感想を持ってるいるかは甚だ疑問だったけど、本当に途中までしか読んでない本の感想を話すと榛名くんはちゃんと真剣に聞いてくれた。


「だから早く続きが読みたいんだけど、寝落ちしちゃったりしてなかなか読めないの」


一通り話し終わって、そこで一旦話を区切る。


すると榛名くんは、


「一ノ瀬さんならそう言ってくれると思ったよ。貸してよかった」


なんとも嬉しいことを言ってくれたりした。


「それに一ノ瀬さんが大好きな本の感想を話す時の顔って、物凄く楽しそうで、見てるとこっちまで楽しくなってくるんだ」


……え、うそ。


それあたしもさっき同じ事を榛名くんに思ったばっかりなのに。


あぁ、もう今超絶幸せかもしれない。


「でも一ノ瀬さんはいつも楽しそうだけどね」


「え?」


「仲の良い友達と喋ってる時の一ノ瀬さんはいつも楽しそうだよ」


「そう…かな」


「うん、そうだよ。それが少し羨ましい」


「だったら榛名くんも入って一緒に喋ろうよ」


「ううん、俺が入ったら一ノ瀬さんはよくても他の人たちが俺の事よく思わないよ」


「どうして」


「一ノ瀬は大事にされてるから」


「大事って?」


「関口くんや藤堂くんは一ノ瀬さんが大事で仕方がないって感じだよ」


突然、陽ちゃんや翼の名字を出され戸惑った。


でも。
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