いつか淡い恋の先をキミと
「…なんでこんな事するの!」


「お前があんな奴と絡んでっからだろうが」


「……、なんで知って」


「所詮知られたら困るような関係なんだろ」


「違うもん!」


「じゃあなんで俺たちにその事ずっと言わなかったんだよ」


「それは、」


「どうせ恥ずかしかったんだろ」


「恥ずかしい、ってなに…?」


「普段教室の端で本しか読んでねぇような奴と仲良いって思われるのが恥ずかしかったんだろ」


「…陽ちゃん、自分で何言ってるか分かってるの、最低だよ」


「最低なのはお前だろ。俺たち差し置いてあんな奴と仲良さそうに話してるお前が悪ぃんだろ」


「別にあたしが誰と仲良くしようが陽ちゃんに関係ないでしょ!…意味わかんない!」


「なんでそんな奴と仲良くする意味があんだよ!お前には俺たちがいるだろうが!」


「陽ちゃんだって、あたしたち以外にも友達いるじゃん…!」


「向こうはお前のこと友達だって思ってねぇかもしれねぇだろ!お前と一緒にいたら好きになるかもしんねぇだろ…っ」


違う。


友達だと思ってないのはあたしの方。


一緒に話していて好きになっちゃったのもあたしの方。


榛名くんは違う。


だからそんな現実突き付けないで。


「もういい加減にしてよ…っ、どんな事言われ、たって…、陽ちゃんがこの本を、投げていい理由になんて、ならないよ…!」


「たかが本だろ」


「最っ低!だいたいあんな奴、とか…言うけど、陽ちゃんに榛名くんの…何が分かるの?」


「……」


「榛名くんが…っ、この本をどれだけ『大切』に思ってるか知りもしないくせにこんなことするなんて――」


嗚咽で上手く喋れない中で、それでも榛名くんがどれだけこの本を大切にしていたかは教えないといけないと思い、陽ちゃんと対峙していたその時。
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