いつか淡い恋の先をキミと
想いは一度リセットされる。
あの日から数週間が立ち、今日は一学期の終業式。


あれから榛名くんとは一言も言葉を交わしてはいないし、目も合わせてもらえていない。


無意識の内にあたしは榛名くんを目で追ってしまうものの、それに気付いているのかいないのか、榛名くんはこちらを気にする気配もない。


でもそれも当たり前。


榛名くんにとってあたしはただの迷惑の塊でしかなかったんだから。


あたしが楽しいと思って過ごしていた時間は榛名くんにとっては苦痛の時間だった。


あたし一人だけ、舞い上がったりして本当にバカだ。


だけどそんなバカなあたしは未だに榛名くんを諦められないでいた。


こんなにも好きになっちゃった人を勿論嫌いになんてなれないし、好きでなくなるのにも時間がかかる。


そしてあたしはあの日から一度も陽ちゃんとも口を利いていない。


登下校も何もかも一緒にするのをやめた。


陽ちゃん以外のいつも通りのメンバーとは喋ったりはするけど、陽ちゃんとだけは喋っていない。


あんなことをした陽ちゃんのことをあたしは簡単に許せない。


榛名くんに迷惑だと思われてたことに関してはもういい。


寧ろ、あの時その気持ちが知れて良かったと思っている。


だけど榛名くんのあの『大切』な本を汚したことだけは絶対に許せない。


いつか絶対陽ちゃんが榛名くんにその事を謝る日がくるまであたしは許さない。


……ゴメンね、榛名くん。


もう一度君にちゃんと謝りたい。


だけど君はそれすらも許してはくれないんだよね。
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