いつか淡い恋の先をキミと
「……え、なに……くるみ、もしかして、あたしのことも…わかんない、の?」


「……」


「ね、くるみ…!なんで何も言わないの?」


「……」


「ねぇってば!」


「……」


誰も何も言わなかった。いや、言えなかった。


響子が取り乱すのをただひたすら黙って見守ることしか出来なかった。


そんな俺たちを救うかのように看護師の人が病室にやってきて、目が覚めたことを知ったその人はくるみの担当医を呼んできた。


そこからの記憶は…あまりない。


一旦、病室を出た俺たちは待合室までどうにか足を運び、皆が皆黙って時間をやり過ごした。


一時間くらい経った頃だろうか。


くるみの母親である、翠さんが待合室にやってきた。


そしてその目が少し腫れていることが遠目でも把握できた。


俺の想像通りなら、やっぱりくるみは。


「みんな、くるみのためにわざわざありがとう」


「いえ、そんな…」


「くるみの目が覚めた時、一緒にいたのよね?」


「はい」


「辛い思いさせちゃったわね……」


「……いえ……」


「……」


「……」
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