いつか淡い恋の先をキミと
覚えていない私のせいで二人が揉めるのが申し訳なくて、話を変えようと、次のページをめくって適当な写真を指差した。


「この写真は?いつの?」


「たしかこれは、」


「中三の修旅だな」


「そうそう」


「……そっか、私たち本当に仲良かったんだね」


「当たりめーだろ。つーか、勝手に過去形にすんな、バカ」


「……ごめんね、陽平くん」


「また言い方悪いよ、陽平。俺、ちょっと飲み物取ってくるから、くるみ、陽平のことよろしくね」


「どういう意味だ、それ」


「さぁね」


そう言って立ち上がって部屋を出て行った翼くんがなんだか面白かった。


「楽しいか?」


私のそんな思いが表情に出ていたのか、陽平くんがそう尋ねる。


「うん、楽しい」


「そうか。お前が楽しいなら俺も楽しい」


真面目な顔して思わずドキッとするようなことを言う陽平くんと目を合わすのが照れ臭くなってしまった。


なんなんだろう、この気持ち。


なんだかとてもふわふわする。


早く翼くん戻って来てくれないかな、なんてそんなことを思ったり。


手持ち無沙汰になって、再びテーブルの上のアルバムに手を伸ばしたり。
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