いつか淡い恋の先をキミと
特別誰かを指したわけでもないその問いかけに、陽平くんをはじめ、他の三人も同意してくれた。


あぁ、やっぱり私は一人なんかじゃないんだ。


そのことを再確認出来て、満たされた安心からか、海へ向かう電車の中ではぐっすりと眠ってしまい、起きた時には既に海の最寄り駅だった。


「海だー!」


そう叫ぶ拓哉くんに対し、


「そりゃあ海だな」


あくまでも平然としてる陽平くん。


「綺麗だな」


心の底からそう思ってるであろうことが分かるその声を出す翼くんに、


「ね、綺麗だね」


同意する翼くんの彼女である悠実ちゃん。


「さっ、くるみの水着を買いに行くわよ!」


そして最後に海の綺麗さには一切触れず、私の手を引いて海の家の近くのお店に一目散に向かう響子ちゃん。


「悠実も行くわよ!」


「はーい、じゃあ行ってくるから、先に着替えててね」


翼くんたち男子陣にそう言い残して、小走りで私たちの方に来た悠実ちゃんと、三人で水着を売ってるお店に入った。


いらっしゃいませー、とそんな声を遠くで聞きながら、響子ちゃんを筆頭に水着選びが始まった。


「ね、くるみ!これはどう?」


そうやって響子ちゃんが見せてくるのは大体――…


「それはちょっと…」


…――下着みたいな、露出してはいけないところを最低限隠しただけの水着。


「えー、ダメー?超可愛くない!?」


「いや、可愛いよ!可愛いけど、ちょっと露出が…」


「あのね、くるみ。肌を露出出来るのは十代の特権よ?今のうちにしておかないと、もうできなくなっちゃうのよ?それでもいいの?」


「そうなの?」


「そうに決まってるでしょ!」


そんな会話を経て、私が購入したのは、一番最初に響子ちゃんに選んでもらったものよりかは幾分か露出が少ない水着。
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