いつか淡い恋の先をキミと
あたしは何を書こう――色々と考えながら日記を書き終えた時には書き始めてから30分が経過していた。
早くかえろう、そう思い教室の窓を閉めようと立ち上がった時に気が付いた。
いつもの場所、その陽のあたらない場所で一人本を読んでいる君がいることに。
そして今この教室にはあたしと君以外誰もいないことに。
日記を書くのに必死で気が付かなかった。
でも日記を書く時に気が付かなくて良かったと思う。
だって、あたし今こんなにもドキドキしてる。
窓を閉めてたら次は教室の鍵を閉めなきゃいけないから、どちらにしろ君に声を掛けないといけない。
だからどうせ声を掛けるなら――…
「ねぇ、榛名【はるな】くんっていつも何読んでるの?」
…――読んでいる本を知るきっかけにしたい。
そしてそれはあたしが初めて君の名前を自分の口で紡いだ瞬間でもあった。
自分の席から君の席までの距離、斜め後ろを振り返りながら疑問を口にしたあたしに、
「今、俺に喋りかけたの?」
返って来た声のトーンは思ったよりも低く、優しくて心地が良かった。
周りの人を近付けない雰囲気があるから、もうちょっと怖い人だと思ってたけど全然そんなことなかった。
「うん、喋りかけたよ?」
「あ、そっか、ここもう邪魔だね。教室閉めるよね」
「ううん…っ、違うの、榛名くんの読んでる本は何って聞いたの」
「本?」
「うん、榛名くんいつも本読んでるでしょ?ずっと気になって――」
って何言ってるのあたし。
ずっと気になってたなんて何言ってるの。
早くかえろう、そう思い教室の窓を閉めようと立ち上がった時に気が付いた。
いつもの場所、その陽のあたらない場所で一人本を読んでいる君がいることに。
そして今この教室にはあたしと君以外誰もいないことに。
日記を書くのに必死で気が付かなかった。
でも日記を書く時に気が付かなくて良かったと思う。
だって、あたし今こんなにもドキドキしてる。
窓を閉めてたら次は教室の鍵を閉めなきゃいけないから、どちらにしろ君に声を掛けないといけない。
だからどうせ声を掛けるなら――…
「ねぇ、榛名【はるな】くんっていつも何読んでるの?」
…――読んでいる本を知るきっかけにしたい。
そしてそれはあたしが初めて君の名前を自分の口で紡いだ瞬間でもあった。
自分の席から君の席までの距離、斜め後ろを振り返りながら疑問を口にしたあたしに、
「今、俺に喋りかけたの?」
返って来た声のトーンは思ったよりも低く、優しくて心地が良かった。
周りの人を近付けない雰囲気があるから、もうちょっと怖い人だと思ってたけど全然そんなことなかった。
「うん、喋りかけたよ?」
「あ、そっか、ここもう邪魔だね。教室閉めるよね」
「ううん…っ、違うの、榛名くんの読んでる本は何って聞いたの」
「本?」
「うん、榛名くんいつも本読んでるでしょ?ずっと気になって――」
って何言ってるのあたし。
ずっと気になってたなんて何言ってるの。