いつか淡い恋の先をキミと
迎えた始業式の日、陽平くんと翼くんがわたしの家まで迎えに来てくれて学校へと向かった。
記憶上、初めて着る制服になんだかワクワクして落ち着かなかった。
学校へ行く途中で悠実ちゃんや響子ちゃんや拓哉くんとも落ち合って六人で校門をくぐった。
校舎は二つに分かれていて、私たちのクラスは手前のちょっと古い方の校舎なんだそう。
古いといってもたかが知れてるけどね、と翼くんは笑いながら言う。
見るもの全てが新しくて、全部を見て回りたい衝動に駆られる。
そんなことはしないけど、暇が出来たらやりたいな、とも。
そして教室に辿り着いて横開きの扉を開けて足を踏み入れた時、心なしかみんなの注目を浴びてる気がした。
自分の席を教えてもらい、そこに鞄を置くまでの時間がが随分長く感じられ、しかもその間教室にいるみんなが口を開かなかった。
物凄く落ち着かなくて、陽平くんに救いの目を向けようとしたその時。
「くるみちゃん、元気だった⁉︎」
「もう何ともないの?」
「くるみ、怪我大丈夫?」
「心配したんだよー!」
「一ノ瀬、久しぶりだな」
「もう俺、一ノ瀬の顔見れないかとも思った」
クラスの人たちが私の周りに集まってきて、各々が声を掛けてくれた。
……嬉しい。凄く嬉しい。
だけど、私はこの人たちの顔や名前を誰一人として言えない。
相手は覚えてくれているのに、自分は覚えていない。
たくさんの心配をしてくれてたのに、私はそれを返せない。
記憶上、初めて着る制服になんだかワクワクして落ち着かなかった。
学校へ行く途中で悠実ちゃんや響子ちゃんや拓哉くんとも落ち合って六人で校門をくぐった。
校舎は二つに分かれていて、私たちのクラスは手前のちょっと古い方の校舎なんだそう。
古いといってもたかが知れてるけどね、と翼くんは笑いながら言う。
見るもの全てが新しくて、全部を見て回りたい衝動に駆られる。
そんなことはしないけど、暇が出来たらやりたいな、とも。
そして教室に辿り着いて横開きの扉を開けて足を踏み入れた時、心なしかみんなの注目を浴びてる気がした。
自分の席を教えてもらい、そこに鞄を置くまでの時間がが随分長く感じられ、しかもその間教室にいるみんなが口を開かなかった。
物凄く落ち着かなくて、陽平くんに救いの目を向けようとしたその時。
「くるみちゃん、元気だった⁉︎」
「もう何ともないの?」
「くるみ、怪我大丈夫?」
「心配したんだよー!」
「一ノ瀬、久しぶりだな」
「もう俺、一ノ瀬の顔見れないかとも思った」
クラスの人たちが私の周りに集まってきて、各々が声を掛けてくれた。
……嬉しい。凄く嬉しい。
だけど、私はこの人たちの顔や名前を誰一人として言えない。
相手は覚えてくれているのに、自分は覚えていない。
たくさんの心配をしてくれてたのに、私はそれを返せない。