目覚めたら、社長と結婚してました
「この前は突然、ごめんね。あと結婚したこともちゃんと報告してなくて……」
そろそろと話題を振る私に奈々は困ったように笑った。
「いいよ、気にしてないって。それにしても柚花、こんなこと聞くのもなんだけど、もしかして子どもができたの?」
窺うように尋ねられた内容があまりにも予想だにしていなかったもので、私は気がつけば無実を証明するかのごとく、全力で否定していた。
「ち、違う。違うよ!」
首をぶんぶんと横に振る私に、奈々はあっけらかんと続ける。
「そうなの? 三月に会ったときは結婚どころか彼氏さえいないって言ってたくせに、次に会ったら結婚してるんだもん。旦那さんもやけに過保護だったし、調子悪いってそういうことなのかと……」
「誤解だよ、本当に違うから!」
「そこまで必死に否定しなくてもいいでしょ」
苦笑する奈々に私は黙りこくって、顔を赤らめたままうつむく。そこでランチのプレートが運ばれてきたのでおとなしく受け取った。
フォークをもってサラダをつっつきながら、口火を切ったのはやはり奈々の方だった。
「にしても、旦那さんカッコよくてめちゃくちゃ驚いたよ。高校の頃から男っ気がまったくなく、恋愛話さえついていけなかった柚花があんな素敵な人を捕まえてさっさと結婚するとは……。なに、子どもができたんじゃないとしたら、お見合いとか?」
どうやら私が普通に恋愛結婚したという考えは奈々の中ではあまりないらしい。無理もない。あまりにも短期間の話だし、私自身でさえ記憶もなく、実感もないのだから。
奈々は目を輝かせながら身を乗り出してくる。
そろそろと話題を振る私に奈々は困ったように笑った。
「いいよ、気にしてないって。それにしても柚花、こんなこと聞くのもなんだけど、もしかして子どもができたの?」
窺うように尋ねられた内容があまりにも予想だにしていなかったもので、私は気がつけば無実を証明するかのごとく、全力で否定していた。
「ち、違う。違うよ!」
首をぶんぶんと横に振る私に、奈々はあっけらかんと続ける。
「そうなの? 三月に会ったときは結婚どころか彼氏さえいないって言ってたくせに、次に会ったら結婚してるんだもん。旦那さんもやけに過保護だったし、調子悪いってそういうことなのかと……」
「誤解だよ、本当に違うから!」
「そこまで必死に否定しなくてもいいでしょ」
苦笑する奈々に私は黙りこくって、顔を赤らめたままうつむく。そこでランチのプレートが運ばれてきたのでおとなしく受け取った。
フォークをもってサラダをつっつきながら、口火を切ったのはやはり奈々の方だった。
「にしても、旦那さんカッコよくてめちゃくちゃ驚いたよ。高校の頃から男っ気がまったくなく、恋愛話さえついていけなかった柚花があんな素敵な人を捕まえてさっさと結婚するとは……。なに、子どもができたんじゃないとしたら、お見合いとか?」
どうやら私が普通に恋愛結婚したという考えは奈々の中ではあまりないらしい。無理もない。あまりにも短期間の話だし、私自身でさえ記憶もなく、実感もないのだから。
奈々は目を輝かせながら身を乗り出してくる。