目覚めたら、社長と結婚してました
玉城さんの声は抑えられているものの激昂気味だ。なんだか申し訳なくて、やはりフォローするべきだと起き上がろうとした。
「いいんだ。柚花は結婚した経緯も忘れている」
しかし、怜二さんの言葉で私は体の動きどころか息さえ止めた。代わりに心臓がドクドクと音を立て始める。
「だから申し訳ないんだろ。彼女には話したのか?」
「話していないし、話してどうする? 医者にも言われているんだ。余計なショックを与えたくない」
「ショック? なにがだよ。べつに脅して結婚したわけじゃないしウィンウィンの関係だろ。彼女自身も彼女の両親の事業もお前に救われ、お前は両親をはじめ、ずっと結婚しろってうるさかった周りを黙らせて納得させた。あとは子どもでも作れば完璧だろうが、彼女がそんな状態なら……」
そこで携帯が音を立てる。どうやら玉城さんのもので、彼は電話に出て話しながら部屋を出て行こうとしている。それに怜二さんが続いた。このまま帰るらしい。
静かになった部屋で私は大きく深呼吸した。そして聞こえてきた情報を整理しようと頭を動かすのに上手くいかない。
どういう、ことなの?
わからない。仰向けになって胸に手を当てる。呼吸も思考も乱れて、怜二さんたちが話していた内容が受け止められない。だって、まるで取引きだ。
「いいんだ。柚花は結婚した経緯も忘れている」
しかし、怜二さんの言葉で私は体の動きどころか息さえ止めた。代わりに心臓がドクドクと音を立て始める。
「だから申し訳ないんだろ。彼女には話したのか?」
「話していないし、話してどうする? 医者にも言われているんだ。余計なショックを与えたくない」
「ショック? なにがだよ。べつに脅して結婚したわけじゃないしウィンウィンの関係だろ。彼女自身も彼女の両親の事業もお前に救われ、お前は両親をはじめ、ずっと結婚しろってうるさかった周りを黙らせて納得させた。あとは子どもでも作れば完璧だろうが、彼女がそんな状態なら……」
そこで携帯が音を立てる。どうやら玉城さんのもので、彼は電話に出て話しながら部屋を出て行こうとしている。それに怜二さんが続いた。このまま帰るらしい。
静かになった部屋で私は大きく深呼吸した。そして聞こえてきた情報を整理しようと頭を動かすのに上手くいかない。
どういう、ことなの?
わからない。仰向けになって胸に手を当てる。呼吸も思考も乱れて、怜二さんたちが話していた内容が受け止められない。だって、まるで取引きだ。