目覚めたら、社長と結婚してました
「……なんで普通に『おめでとう』って言ってくれないんですか?」
「言ってほしいのか?」
聞き返されて、また心が乱される。言ってほしいに決まっている。その一言を怜二さんからもらえたら、私はきっと前を向けるから。
結婚が正式に決まるまでに、やりたかったことをしようと決意した。それをやりきったら、私はなんの未練もためらいもなく結婚できるって思っていたのに。
「マーティンがどうするのか教えてやる」
彼はあっという間に私との距離を縮めると、低い声で呟いた。
「他の男に持っていかれそうになって、ようやく自分の気持ちを自覚するんだ。馬鹿で、鈍感で、遅すぎると自分を呪う。でも諦めることもできない」
淡々とした口調だった。そして次の瞬間、怜二さんは私の頤に手をかけるとくいっと上を向かせた。彼の瞳に捕えられる。
「だから奪うんだ。他の男のところには行かせない」
力強く、必死さが滲んでいる表情に私は目を大きく見開いた。怜二さんはそっと私に顔を近づける。
「好きでもない男と結婚できるなら、俺にしておけ。お前の欲しいもの、全部くれてやる」
「なん、で?」
そんなこと言うの? 小説の話じゃなかったの? 声にならず泣き出しそうになるのをぐっと堪える。
「だいたい、ここまで読んで人に結末聞こうだなんて邪道なんだよ。気になるならちゃんと最後まで自分で読め」
ぶっきらぼうに叱られて、私は虚を衝かれる。怜二さんは自分の額を私のおでこに重ねてきた。
「言ってほしいのか?」
聞き返されて、また心が乱される。言ってほしいに決まっている。その一言を怜二さんからもらえたら、私はきっと前を向けるから。
結婚が正式に決まるまでに、やりたかったことをしようと決意した。それをやりきったら、私はなんの未練もためらいもなく結婚できるって思っていたのに。
「マーティンがどうするのか教えてやる」
彼はあっという間に私との距離を縮めると、低い声で呟いた。
「他の男に持っていかれそうになって、ようやく自分の気持ちを自覚するんだ。馬鹿で、鈍感で、遅すぎると自分を呪う。でも諦めることもできない」
淡々とした口調だった。そして次の瞬間、怜二さんは私の頤に手をかけるとくいっと上を向かせた。彼の瞳に捕えられる。
「だから奪うんだ。他の男のところには行かせない」
力強く、必死さが滲んでいる表情に私は目を大きく見開いた。怜二さんはそっと私に顔を近づける。
「好きでもない男と結婚できるなら、俺にしておけ。お前の欲しいもの、全部くれてやる」
「なん、で?」
そんなこと言うの? 小説の話じゃなかったの? 声にならず泣き出しそうになるのをぐっと堪える。
「だいたい、ここまで読んで人に結末聞こうだなんて邪道なんだよ。気になるならちゃんと最後まで自分で読め」
ぶっきらぼうに叱られて、私は虚を衝かれる。怜二さんは自分の額を私のおでこに重ねてきた。