目覚めたら、社長と結婚してました
【番外編】手を伸ばせば届く距離に
「怜二さん、大変。事件です、事件!」
クリスマスを目前に控えた土曜の昼下がり。緊迫した面持ちで書斎にやってきた柚花は、手に文庫本を持って本の内容にまんま影響受けたという口ぶりで告げてきた。
彼女が手にしているのは、個性派の大学教員と冴えない事務職員がコンビを組んで事件を解決していくというミステリーシリーズの最新刊だ。
「どうした?」
「え、言ってもいいんですか?」
思わず俺は顔をしかめる。自分から話題を振ってきてそれはないだろう。柚花自身も俺の表情を読んでそう思ったのか、言い訳めいたものを口にした。
「でも怜二さん、まだ読んでないし……。あ、でも本編の内容じゃないからいいですか?」
ひとりで自問自答をする柚花に俺は軽く息を吐いた。
「ついに次の巻でシリーズが完結するんだろ」
「え、なんで知ってるんですか? 私、今あとがきを読んで初めて知ったのに!」
「二冊くらい前を出したとき、作者がインタビューであと二、三巻で終わるって明言してたからな」
仰々しく驚く彼女にあっさりとタネを明かすと柚花はわざとらしく肩を落とした。
クリスマスを目前に控えた土曜の昼下がり。緊迫した面持ちで書斎にやってきた柚花は、手に文庫本を持って本の内容にまんま影響受けたという口ぶりで告げてきた。
彼女が手にしているのは、個性派の大学教員と冴えない事務職員がコンビを組んで事件を解決していくというミステリーシリーズの最新刊だ。
「どうした?」
「え、言ってもいいんですか?」
思わず俺は顔をしかめる。自分から話題を振ってきてそれはないだろう。柚花自身も俺の表情を読んでそう思ったのか、言い訳めいたものを口にした。
「でも怜二さん、まだ読んでないし……。あ、でも本編の内容じゃないからいいですか?」
ひとりで自問自答をする柚花に俺は軽く息を吐いた。
「ついに次の巻でシリーズが完結するんだろ」
「え、なんで知ってるんですか? 私、今あとがきを読んで初めて知ったのに!」
「二冊くらい前を出したとき、作者がインタビューであと二、三巻で終わるって明言してたからな」
仰々しく驚く彼女にあっさりとタネを明かすと柚花はわざとらしく肩を落とした。