目覚めたら、社長と結婚してました
「怜二さん、クリスマスになにか欲しいものありますか?」

 不意に問いかけられ、飛ばしていた意識を戻す。

 柚花の方を見れば彼女は俺の腕の中でおとなしくしながらも、大きな瞳でこちらをじっと見上げていた。視線が交わると恥ずかしそうに目を逸らす。

「もう怜二さんには正攻法で行くことにします。だって私、怜二さんみたいにお見通しってわけにはいきませんから」

 口ごもりながらも告げる柚花が可愛らしく彼女の髪を耳に掛けた。白い肌が現れ頬をなぞるようにして顎まで手を滑らせると、おもむろに上を向かせる。

 再び目が合ったところで、さすがにこちらの意図は伝わったらしい。顔を寄せると、ぎこちなく柚花は瞳を閉じたので静かに唇を重ねた。

 触れ合うだけでは満足できずキスの合間に軽く舌で唇を突っつく。すると柚花はゆるゆると結んでいた唇をほどいた。

 求めるように彼女の口内を優しく侵していく。最初は困惑気味だった柚花も、次第に応えるように口づけに溺れていった。

 時折漏れる彼女の吐息や甘い声に欲深さがましていき、自然と自分の膝の上に乗っている彼女の脚に手を伸ばて緩やかに撫でる。

 スカートの裾に自分の手が隠れたところで、それ以上の侵入を拒むかのように柚花は力強く手を重ねた。

「っ、もう。はぐらかさないでください!」

「はぐらかしてないだろ」

 顔を真っ赤にして抗議してくる彼女にすかさず切り返すが、どうも納得がいかないらしい。やや早口で捲し立てられる。
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