目覚めたら、社長と結婚してました
どうしても続きが気になって古書店を巡ったりしている際に、そこのご主人に『探している本と同じ名前のバーがある』という情報を得たので、こうしてやってきた。
自分が初めて訪れるバーが自分の好きな本のタイトルと同じ名前というのは、なんとも素敵だな、と思いながら。
そういう話をしていると、目の前にトールグラスが置かれた。底の方は濃い赤紫色でそこから徐々に淡い黄色になっている。
「カシス、グレープフルーツですか?」
「惜しい。カシスは正解だよ。そこにクランベリージュース、柚子ジュースの順で割ってみたんだ」
「柚子?」
目を丸くして反応を示した私にマスターも驚いた顔になる。
「嫌いだったかい?」
「いいえ。むしろ逆です。私、柚の花って書いて柚花って名前なので、なんだか嬉しくなっちゃって」
自然と声が弾み、顔を綻ばせてカクテルを改めて見つめる。
「そっか。それは今日、お嬢さんがここに来てくれたことも合わせて運命を感じるね。柚花ちゃんっていうんだ」
「さすが近藤(こんどう)さん。こうやってお客さんの心を掴むわけだ」
隣の男性客も笑った。そして「乾杯」とグラスを掲げたので私も軽く持ち上げる。マドラーでゆっくり混ぜると、はっきりとした色が徐々に混ざり合っていく。
一口飲んでみると、カシスの甘さと柚子の酸味のバランスがちょうどよく、お酒があまり得意ではない私も抵抗感がない。
自分が初めて訪れるバーが自分の好きな本のタイトルと同じ名前というのは、なんとも素敵だな、と思いながら。
そういう話をしていると、目の前にトールグラスが置かれた。底の方は濃い赤紫色でそこから徐々に淡い黄色になっている。
「カシス、グレープフルーツですか?」
「惜しい。カシスは正解だよ。そこにクランベリージュース、柚子ジュースの順で割ってみたんだ」
「柚子?」
目を丸くして反応を示した私にマスターも驚いた顔になる。
「嫌いだったかい?」
「いいえ。むしろ逆です。私、柚の花って書いて柚花って名前なので、なんだか嬉しくなっちゃって」
自然と声が弾み、顔を綻ばせてカクテルを改めて見つめる。
「そっか。それは今日、お嬢さんがここに来てくれたことも合わせて運命を感じるね。柚花ちゃんっていうんだ」
「さすが近藤(こんどう)さん。こうやってお客さんの心を掴むわけだ」
隣の男性客も笑った。そして「乾杯」とグラスを掲げたので私も軽く持ち上げる。マドラーでゆっくり混ぜると、はっきりとした色が徐々に混ざり合っていく。
一口飲んでみると、カシスの甘さと柚子の酸味のバランスがちょうどよく、お酒があまり得意ではない私も抵抗感がない。