目覚めたら、社長と結婚してました
しばらくして私はちらりと怜二さんを盗み見した。こうして見ると、悔しいけれどやっぱりカッコイイ。
すっと通った鼻筋に薄い唇、意志の強そうな瞳は他者を圧倒させる力がある。広い肩幅と高い背丈は高級そうなスーツを着こなすのに申し分なく、長い指はハンドルに添えられている。
この姿を今までここに座って何人の女性が目にしてきたんだろう。
その考えに至って私はふいっと窓の外に目をやった。彼にとってこの誘いにきっと深い意味はない。変に意識するだけ無駄だし、失礼な気もする。
そもそも私みたいな一社員が社長である彼とこうしてプライベートで一緒にいること自体、奇跡だ。
時刻は午後十時を回っていて、こんな時間にドライブなどほとんど経験がない。
流れていく夜の景色にドキドキとワクワクが入り混じる。不思議と不安はなかった。きっと隣にいるのが彼だからだ。
舗装された広い山道に車が入ったところでようやく行き先に見当がついた。
「上山(かみやま)展望公園ですか?」
「単純なお前にはいいだろ」
「嬉しい。私、夜に来たことないんです」
怜二さんの言い方さえ気にならず、私は純粋に喜んだ。
上山展望公園は、その名の通り標高のある上山の山頂付近を整備した展望公園で、そこから見渡せる景色はビルの上から見るものとはまた違って人気を博していた。
桜とツツジの名所としても知られていて、春に友人とお花見がてら訪れたことがある。そのとき夜景スポットとしても有名だと聞いていた。
すっと通った鼻筋に薄い唇、意志の強そうな瞳は他者を圧倒させる力がある。広い肩幅と高い背丈は高級そうなスーツを着こなすのに申し分なく、長い指はハンドルに添えられている。
この姿を今までここに座って何人の女性が目にしてきたんだろう。
その考えに至って私はふいっと窓の外に目をやった。彼にとってこの誘いにきっと深い意味はない。変に意識するだけ無駄だし、失礼な気もする。
そもそも私みたいな一社員が社長である彼とこうしてプライベートで一緒にいること自体、奇跡だ。
時刻は午後十時を回っていて、こんな時間にドライブなどほとんど経験がない。
流れていく夜の景色にドキドキとワクワクが入り混じる。不思議と不安はなかった。きっと隣にいるのが彼だからだ。
舗装された広い山道に車が入ったところでようやく行き先に見当がついた。
「上山(かみやま)展望公園ですか?」
「単純なお前にはいいだろ」
「嬉しい。私、夜に来たことないんです」
怜二さんの言い方さえ気にならず、私は純粋に喜んだ。
上山展望公園は、その名の通り標高のある上山の山頂付近を整備した展望公園で、そこから見渡せる景色はビルの上から見るものとはまた違って人気を博していた。
桜とツツジの名所としても知られていて、春に友人とお花見がてら訪れたことがある。そのとき夜景スポットとしても有名だと聞いていた。