Some Day ~夢に向かって~
悲しかった、教室に帰るまでの間、私は本当に悲しかった。


加奈ちゃんは私をもともと敵視していたグル-プにいた。なのに、文化祭の準備の頃から、急に私に近づいて来て、いつの間にか仲良くなってた。私と友達になれて嬉しいって、言ってくれたこともあったのに、今また私達の関係は元の通り、ううん、前より冷たい関係になってしまった。


もし逆の立場だったら、私だって素直に祝福できたかどうかわからない。加奈ちゃんと気まずくなっても先輩は譲りたくないって言ったこともある。


でも・・・だとしたら加奈ちゃんは何で、私に近づいて来たの?1ヵ月ちょっとで、またこんな関係になっちゃうくらいなら、何もない方がよかったよ!


私は教室に飛び込むと、心配そうに近寄ってきた由夏を無視して、先輩に声を掛けた。


「先輩!」


「どうしたんだ、悠?」


たぶん私の表情は変わってたんだと思う、先輩は驚いたように声を掛けて来る。


「今度、先輩のお宅にお邪魔しても構いませんか?」


「悠・・・。」


「先輩がうちの親に挨拶して下さったんですから、私も先輩のご両親にお会いして、ご挨拶したいです。」


「そっか・・・。」


変に勢い込んでいる私に戸惑ったのか、先輩は一瞬考える様子を見せたけど


「わかった。前に1度来てもらおうと思って、ポシャッたことあったから、俺は大歓迎だけど、いつにしようか?あっ、明後日なら予備校あるから、来てもらった後、一緒に行けるじゃん。」


「はい、じゃそれでお願いします。」


「そっか、来てくれるのか。楽しみだな。」


本当に嬉しそうな先輩に対して、私の表情は硬い。加奈ちゃんが何を言いたかったのか、この目で確かめてやる、私は気負っていた。
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