Some Day ~夢に向かって~
学校は私の自宅から、自転車で20分程の距離。この通学時間も、私が明協に入学した理由の1つ。
ちなみに由夏は電車通学、帰宅部だった私達は放課後、一緒によく野球部の練習を見に行ったし、ファーストフードのお店で飽きもしないで、おしゃべりを楽しんだりしたが、その機会も今はすっかり減ってしまった。
この日も由夏とは校門でバイバイし、私はまっすぐ帰宅の途に着いた。
「ただいま。」
「お帰り。」
玄関を開け、台所にいるお母さんに声を掛ける。
「お腹空いたでしょ、冷蔵庫にケ-キ入ってるわよ。」
「ホント?ありがとう。」
さすがお母さま、食べ盛りの娘の気持ちがよくわかってらっしゃる。
私は急いで、部屋に戻ると、着替えて食卓に戻る。
「今日も7時からだっけ?」
「うん。」
このあと、7時に予備校に行かなくちゃならない。もちろんその前に一勉強、夕飯も食べなくちゃいけないし、のんびりしてる暇はない。
私の夢は幼稚園の先生、小さい頃からそう決めていた。その夢の実現の為に都内の大学に行きたいんだ。進路指導の先生からは、油断しなければ大丈夫だと、言ってもらってるけど、安心は出来ない。手早くおやつを食べ終え、部屋に戻って、テキストを広げる。
こう見えても、割と集中力はあるつもりなんだけど、今日は机に座ったものの、すぐにテキストから目が離れてしまう。
(先輩・・・。)
つい、考えてしまうのはやっぱり先輩のこと。今日の異常接近は、私には刺激が強すぎた。
本音を言えば、先輩ともっと話がしたい。先輩のことをもっと知りたいし、私のことだって知って欲しい。
だけど、やっぱり怖い。告白する勇気なんて、とてもない。だって私なんかがどう逆立ちしても敵わないような可愛い子達がみんな玉砕してるんだから。
下手なこと言っちゃって、それで先輩と気まずくなっちゃったら、残り半年は地獄だ。受験どころじゃなくなっちゃっても困る。
そんなに物思いにふけってたつもりはなかったんだけど、下からお母さんの呼ぶ声で我に返った。いつの間にか、夕食の時間になってしまったらしい。私は慌てて準備を済ませると、部屋を出た。
(こんなんじゃダメだ。)
夕食を摂りながら、私は思い直した。
(今は受験、それを第一に考えなきゃ。)
「行ってきます。」
私はお母さんに挨拶すると、家を出た。
予備校には歩いて10分くらいで着く。そのまま校舎に入ろうと、歩を進める私の後ろから声がした。
「水木さん。」
驚いて振り向いた私は一瞬息が止まった。
「先輩・・・。」
「なんだ、水木さんもここの予備校だったのか。」
固まってしまう私に、先輩は笑顔で近づいて来る。
「偶然だなぁ、さぁ入ろうよ。」
「は、はい。」
(由夏、やっぱり、これも私にとって都合のいい「たまたま」なのかな・・・?)
戸惑いながら、私は先輩の後について歩き出した。
ちなみに由夏は電車通学、帰宅部だった私達は放課後、一緒によく野球部の練習を見に行ったし、ファーストフードのお店で飽きもしないで、おしゃべりを楽しんだりしたが、その機会も今はすっかり減ってしまった。
この日も由夏とは校門でバイバイし、私はまっすぐ帰宅の途に着いた。
「ただいま。」
「お帰り。」
玄関を開け、台所にいるお母さんに声を掛ける。
「お腹空いたでしょ、冷蔵庫にケ-キ入ってるわよ。」
「ホント?ありがとう。」
さすがお母さま、食べ盛りの娘の気持ちがよくわかってらっしゃる。
私は急いで、部屋に戻ると、着替えて食卓に戻る。
「今日も7時からだっけ?」
「うん。」
このあと、7時に予備校に行かなくちゃならない。もちろんその前に一勉強、夕飯も食べなくちゃいけないし、のんびりしてる暇はない。
私の夢は幼稚園の先生、小さい頃からそう決めていた。その夢の実現の為に都内の大学に行きたいんだ。進路指導の先生からは、油断しなければ大丈夫だと、言ってもらってるけど、安心は出来ない。手早くおやつを食べ終え、部屋に戻って、テキストを広げる。
こう見えても、割と集中力はあるつもりなんだけど、今日は机に座ったものの、すぐにテキストから目が離れてしまう。
(先輩・・・。)
つい、考えてしまうのはやっぱり先輩のこと。今日の異常接近は、私には刺激が強すぎた。
本音を言えば、先輩ともっと話がしたい。先輩のことをもっと知りたいし、私のことだって知って欲しい。
だけど、やっぱり怖い。告白する勇気なんて、とてもない。だって私なんかがどう逆立ちしても敵わないような可愛い子達がみんな玉砕してるんだから。
下手なこと言っちゃって、それで先輩と気まずくなっちゃったら、残り半年は地獄だ。受験どころじゃなくなっちゃっても困る。
そんなに物思いにふけってたつもりはなかったんだけど、下からお母さんの呼ぶ声で我に返った。いつの間にか、夕食の時間になってしまったらしい。私は慌てて準備を済ませると、部屋を出た。
(こんなんじゃダメだ。)
夕食を摂りながら、私は思い直した。
(今は受験、それを第一に考えなきゃ。)
「行ってきます。」
私はお母さんに挨拶すると、家を出た。
予備校には歩いて10分くらいで着く。そのまま校舎に入ろうと、歩を進める私の後ろから声がした。
「水木さん。」
驚いて振り向いた私は一瞬息が止まった。
「先輩・・・。」
「なんだ、水木さんもここの予備校だったのか。」
固まってしまう私に、先輩は笑顔で近づいて来る。
「偶然だなぁ、さぁ入ろうよ。」
「は、はい。」
(由夏、やっぱり、これも私にとって都合のいい「たまたま」なのかな・・・?)
戸惑いながら、私は先輩の後について歩き出した。