Some Day ~夢に向かって~
そして、ついに卒業式の日がやって来た。


「卒業生、入場。」


司会の声が、講堂から聞こえて、吹奏楽部の奏でる「威風堂々」に合わせて、私達は歩を進める。


講堂に入って、すぐに私は拍手で迎えてくれてるお母さんの姿を見つけた。お父さんが仕事で来られなかったのは、残念だったけど、お母さんの方も、私のことをすぐに見つけてくれて、笑顔を送ってくれる。


ありがとう、お父さんとお母さんのお陰で、私は無事、この日を迎えることが出来ました。2人の娘に生まれて、悠は幸せです。これからももう少し、甘えさせて下さいね。


保護者、在校生、教職員のみなさんの拍手に迎えられた私達は、所定の位置に着席した。


「卒業証書授与。」


その声に、司会に代わって山上先生がマイクの前に立つ。


「3年A組、相原忍・・・。」


先生が私達みんなの名前を1人1人、呼ぶ。ベテラン教師らしく淡々と・・・。


「岩武由夏。」


「はい。」


3番目に名前を呼ばれた由夏。由夏。あなたがいなかったら、私の3年間の高校生活はとても味気ないものになってたかもしれない。ありがとうね、そしてこれからもよろしくね。


「沖田総一郎。」


徹くんをなんとかクラスに溶け込ませようと、頑張ってくれた沖田くん。


「加瀬卓也。」


加瀬くん、私を初めて好きだと言ってくれた人は、徹くんじゃなくて、あなただもんね。感謝してます。あなたなら、きっと素敵な人が見つかるから。


「桜井加奈。」


3年も後半になってから、由夏と並ぶくらいの親友が出来るなんて、思ってもみなかった。嬉しかったよ、加奈。


「白鳥徹。」


「はい。」


すっくと立ちあがった徹くんはやっぱりかっこいい!私の自慢の彼氏。


「塚原聡志。」


塚原くんには、危ないとこを助けてもらったこと、忘れないから。あと、由夏ともう少し仲良くしてくれると、親友としては嬉しいかな。


そして・・・


「水木悠。」


「はい。」


名前が呼ばれ、私は大袈裟でなく、万感の思いを込めて返事をした。そして、その私の声を聞いた先生は


「以上32名。」


そう言うと、静かに一礼して、マイクの前を離れた。


卒業証書授与、校長の祝辞と式は進む。在校生代表の生徒会長からの送辞、私達卒業生代表の答辞は加奈が読んだ。すべり止めでW大やJ大に軽く合格、後は国立2次の結果を待つばかりの加奈は、サラリと大役を果たして見せる。


そして、いよいよ卒業生による合唱。私達が投票で選んだのは「旅立ちの時」。多くのJ-POPを抑えて、これが選ばれたのは意外だったけど、私は大満足。小学校卒業の時も、中学卒業の時も歌ったけど、今年ほど、この歌の歌詞が、心に響いたことはなくて、涙が溢れて来て、止まらなくなってしまった。


全ての式次第が終了した。


「卒業生、退場。」


司会の声に促されて、私達は会場を後にした。
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