Some Day ~夢に向かって~
後輩達に別れの言葉を贈った徹くんは、笑顔で私達に近づいて来た。


「お待たせ。」


「うん。」


そんな徹くんを私も笑顔で迎える。


「じゃ、加奈。私達もそろそろ行こうか。」


「そうだね。」


すると私達に気を遣ったように2人が言う。


「由夏、加奈。」


思わず呼び掛けてしまう私。もう行っちゃうの?2人の気持ちは嬉しいけど、でも・・・。


「何、そんな泣きべそかいてんの?卒業式は終わったけど、私達はこれからも、いつでも会えるじゃん。」


「でも、由夏・・・。」


今日でもう学校に来なくなるんだよ、制服も着られなくなるんだよ。もう少し、ここで一緒に居たいよ。


「悠、気持ちはわかるけど、今日はもうサヨナラしよ。その代わり、悪いけど、私達、これからの春休み、悠を先輩にひとり占めさせる気ないから。」


「加奈〜。」


その加奈の言葉に私の涙腺は再び決壊。


「では、先輩。この泣き虫のことはよろしくお願いします。」


「わかった、2人ともありがとう。これからも悠のこと、よろしくな。」


「先輩が名古屋に行っても、由夏と2人で、悠に悪い虫が付かないように全力で保護しますから。その代わり、先輩も悪い虫を近づけないように気をつけて下さいよ。」


「もし、悠を悲しませたり、泣かせたりしたら、私達、絶対に許しません。その時は先輩から悠を永久に取り上げますから。」


「わかりました、肝に銘じます。」


2人からの厳しい言葉に、殊勝な表情で答える徹くん。


「じゃ、これで失礼します。」


「悠、またね。」


そう言って、手を振りながら、2人は私達から離れて行った。


「由夏、加奈、愛してるから〜。」


突然の私の叫びに、一瞬、2人は苦笑いを浮かべたけど、私達に手を振って、帰って行った。
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