Some Day ~夢に向かって~
そして、体育祭当日。全員参加の徒競走で、ぶっちぎったのは、当たり前だけど、本番はクラス対抗リレー。


現役の陸上部員も参加するこの競走で、どこまでやれるのか、私は勝手に高校生活の集大成だと思ってた。


そして、結果はアンカーを任された私は、他クラスのアンカーとのデットヒートを制して、トップでゴール。


(勝った・・・。)


私が心地よい疲労感に浸ろうとした時だ。


「やったね〜。」


「ありがとう、桜井さん!」


クラスメイトの女子が次々と抱きついて来る。その周りで男子も大喜びしてくれている。


(なに、この雰囲気・・・。) 


クラスの歓喜の輪の中心に、自分がいることが信じられなくて、私は呆然と立ち尽くす。


「桜井さん、やったね、カッコよかったよ。」


「速かったねぇ、ひょっとして陸上やってたの?」


その輪が解けたあと、例の2人組、水木悠さんと岩武由夏さんが、笑顔で私に話しかけて来てくれた。


「すげぇな、桜井。」


「桜井さん、前はウチの練習、よく見に来てくれてたもんな。実はスポーツ得意だったんだ。」


今の野球部のエースバッテリー、塚原聡志くんと沖田総一郎くんもそう、声を掛けてくれた。


塚原くん、今、私のこと「桜井」って呼んだよね?


沖田くん、私のことに気がついてくれてたんだね?


やっぱり、私は何かを間違えてしまっていたらしい・・・。
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