Some Day ~夢に向かって~
2学期がやって来た。登校した私は、なにか教室に妙な空気が流れているのを感じた。首を傾げながら、席に着いた私の耳に、岩武さんと水木さんの話が聞こえて来た。


「帰って来るみたいよ、今日から。」


「そうなんだ。」


帰って来る・・・それが誰のことなのか、周りに無関心を気取る私だって、すぐにわかる。私の憧れの人、白鳥先輩がいよいよ1年ぶりに、学校に帰って来る。そして私のクラスにやって来るんだ。


その待ち人は、いつまで経っても慣れない校長の長話からようやく解放されて、教室に戻って来た私達が、ホッと一息ついていると、現れた。


「白鳥徹です。事情があって休学してましたが。今日から復学することになりました。短い間ですが、よろしくお願いします。」


そう、私達に挨拶すると、颯爽と席に向かった。その姿のカッコいいこと・・・。胸をときめかせて、先輩を見つめる私。


(よかった、私、ちゃんとまだ、こういう思いをなくしてはいなかったんだ。)


我ながら、そのことに安心した私だった。
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