Some Day ~夢に向かって~
悠ちゃんと先輩が、心を通じ合わせ、晴れてカレカノになったのは、それから間もなくのことだった。私の恋は完全に終わりを告げた。


「桜井。君の気持ちは嬉しい、これは嘘じゃない。だけど、君が言っていた通り、俺の心の中には悠しかいない。だから君の気持ちには、応えられない。ゴメンな。」


先輩は私にこう言って、頭を下げてくれた。当たり前だけど、「水木」が「悠」になってて・・・羨ましかった。これまで幾多の告白に対して、即答でお断りだったと言われている先輩が、私への返事は数日経ってからだった。多少は私の事、考えてくれたんだと、うぬぼれておこう。


だけど、その後、屋上へ行って、悠ちゃんに意地悪なことを言ったのは、ハッキリ言って余計だった。本当はおめでとう、よかったね、そう言いたかったのに・・・。


けじめが付いて、スッキリしたつもりだったんだけど、やっぱり悔しかったんだね。わざと「水木さん」なんて呼んでまで言った私の意地悪は、悠ちゃんに何日間か、嫌な思いをさせたみたいだけど、ただ、それだけ。自分を悪く見せ、自分がみじめな思いを募らせただけだった。


その日の夜、私は泣いた。先輩に振られたことはもちろん悲しかったけど、それ以上に、私はせっかく手に入れた大切なものを失った。それも覚悟の上だったつもりだったのに、涙が止まらなかった・・・。
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