Some Day ~夢に向かって~
番外編その2  2度目の訪問
それは、私達の受験が終わり、徹くんの進路も無事固まった頃のことだった。


「なぁ、悠。」


「なぁに?」


「今度、久しぶりにウチに遊びに来ないか?」


「えっ?」


徹くんからのお誘いだった。私は顔が引きつるのが、はっきり自覚できた。


「う、うん・・・。」


私は1度、徹くんの家にお邪魔したことがある。そして、それは苦い思い出として、私の中に残っている。


「おふくろがさ。」


その徹くんの発した単語に、ビクンとしてしまう私。だけど・・・。


「今度、悠をいつ連れてくるんだって、ずっとうるさいんだよ。」


えっ?それどういう意味?いよいよ私、呼び出されて、引導渡されちゃうのかな?


「ウチの息子に、いつまでまとわりついてるつもり!」


とか言われて。でも不安いっぱいの私の耳に聞こえて来た、次の徹くんの言葉は、意外だった。


「おふくろさ、すっかり悠が気に入ったみたいで、『徹はいい子を見つけた』っていつも言っててさ。」


はい?今なんておっしゃいました?あなたのお母さまが、私を気に入ってくださってると・・・?そんなわけ、ないでしょ。


思い起こすこと3ヶ月前、徹くんの家に初めてお邪魔したとき、お母さんは私のことをほとんど無視するような態度に終始した。あれは正直、かなり凹んだ。


「そうか?おふくろそんな感じだったか?俺は、悠が家に来てくれて、すっかり舞い上がってたから、全然気づかなかったなぁ。」


もう、鈍感なんだから!


「でも俺が言ってることは、嘘じゃないぜ。何だったら、唯にでも聞いてみてくれよ。」


別に徹くんを、信用してないわけじゃないけど・・・。


「あの言動がもし嘘なんだとしたら、俺は母親不信に陥るな。」


そう言って、徹くんは笑った。
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