Some Day ~夢に向かって~
だけど、いつもと違い、そのキスはだんだん深いものになって来る。戸惑いながらも、私はそれを受け入れる。だって相手が徹くんなんだもん・・・。


でも、さすがに息苦しくなって来た私は、徹くんの胸をトントンと叩いてしまう。ハッとしたように離れる徹くん。


見つめ合う私達。でも、それは一瞬で、私の唇はまた、徹くんの唇に塞がれ、再び、徹くんの舌が私の舌に絡みついて来る。戸惑いながらも私はやっぱりそれを受け入れる。苦しくて、思わず声が出る。


(えっ?)


そして、次の瞬間、私は思わず身を固くする。徹くんの手が、私の胸元に伸びて来たのを感じたからだ。


私はとっさに身体を離そうとしたけど、叶わず、そのままベッドに押し倒されるように倒れ込んだ。


(徹くん!)


間近に見える徹くんの顔を見上げる私。この状況が、どういうことなのか、このままならどうなって行くのか、私にもわかる。


(嫌!)


私はそう声を上げた・・・つもりだった。だけど声にならなかった。もし、その言葉を本当に、口にしたら、私は徹くんに嫌われちゃうかもしれない。だけど・・・


私は顔を背ける、そして目からは涙が一筋、また一筋・・・。


「悠。」


徹くんの呼びかける声が聞こえる。


「こっちを見てくれ。」


だけど、私は徹くんを見ることが出来ない。そんな私の顔を、徹くんは自分の方にそっと向ける。思わず目を閉じる私、そしてそこからはまた涙が・・・。


「悠、好きだよ、本当に好きなんだ。だから・・・そんな悲しそうな顔、しないでくれ。」


優しくて、そして少し悲しげな徹くんの声がする。私がそっと目を開けると、またキスが降って来る。私はまた、身を固くしたけど、徹くんの唇は、今度はすぐに離れて行く。


「徹、くん・・・。」


「だから待つよ、悠の心と身体の準備が出来るまで。約束する。だから、もうそんな悲しそうな顔をしないでくれ。ごめんな。」


その言葉を聞いた瞬間、私は徹くんに抱き付いていた。


「徹くん、ありがとう。私も大好きだから・・・もう少し待ってね。」


「うん。」


私達は、お互いの鼓動を確かめ合っていた。
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