Some Day ~夢に向かって~
それから、私達は寄り添いながら、いろんなおしゃべりをしながら過ごした。受験があったから、私達はまだお互いのことを知らないこともたくさんある。


私はねだって、徹くんの昔のアルバムとかを見せてもらった。小さい頃の徹くんはやっぱり可愛くて、そしてだんだんカッコよくなって来て。


そしてかなり小さい頃から野球をやっていたこともわかった。意外だったのは、お父さんとキャッチボールをしている姿なんかも写っていた。


「俺を野球に導いてくれたのは、他でもない。親父なんだ。」


「そうなの?」


「親父も高校まで、野球やってた。爺さんに言われて、スッパリ辞めたらしいけど。ただ野球が嫌になったわけじゃないから、俺にもやらせてくれたらしい。」


「そうなんだ。」


「だけど、それはあくまでスポーツをやらせて身体を強くする為の手段としてだった。親父の腹積もりでは、自分と同じように高校で野球は卒業、あとは会社の跡取りの道を、って思ってたみたいで。それに俺が反発して、すっかり仲悪くなった。もっとも無理矢理辞めさせられるまでもなかったけどな。」


そう言って苦笑いする徹くん。そうこうしているうちに、お母さん達が帰って来た。


「お帰りなさい。」


「ただいま。お留守番、ありがとう。」


出迎えた私達に、笑顔で答えてくれるお母さん。


「悠ちゃん、今夜はご馳走だよ。楽しみにしてて。」


唯ちゃんの言葉に、私は


「あっ、私もお手伝いします。」


と申し出たけど


「いいのよ、気を遣わなくて。あなたはお客様なんだから。徹とゆっくりお話して、待ってて。」


「でも・・・。」


「大丈夫だよ、唯が手伝うから。」


「そう言うこと。じゃ2階に行こうぜ。」


結局、私はお言葉に甘えさせてもらった。
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