Some Day ~夢に向かって~
そのあとも、私達はいっぱい、いろんなことを話した。時間が経つのを忘れてしまうくらいに夢中になって。


外もいいけど、おうちデートもいいな。私がそんな思いに浸ってると、突然ドアがガチャッと開いた。  


「なんだよ、お前。入る時にはノックくらいしろ。」


顔を出した唯ちゃんに、徹くんが文句を言うけど


「お兄ちゃんが悠ちゃんに、変なことしてないか、抜き打ちチェックだよ〜。」


「バカ、ふざけんな。」


いたずらっぽく笑う唯ちゃんに、結構ムキに答えてる徹くん。身に覚えがあるからじゃないの?って言いたかったけど、ヤブヘビになるといけないから、黙ってる。


「そろそろ降りて来なよ。お父さんも帰って来たし。」


「えっ、本当に?」


話に夢中になってて、ちっとも気付かなくて、お出迎えもしなかった。私は慌てて、部屋を出た。


食卓に入ると既に、テーブルいっぱいに、美味しそうな料理が並び、席についていたお父さんは、私を柔和な表情で迎えてくれる。


「お邪魔しております、お出迎えもせず、大変失礼をいたしました。」


平身低頭の私に、お父さんは首を横に振る。


「いらっしゃい。私は今日は、遊んで来ただけだし、君はお客さんなんだから、そんなことは気にしないで。さぁ、掛けて下さい。」


そんなこと言われても、料理のお手伝いもしてないし、なんて非常識な子なんだと呆れられちゃうよね。


「みんな揃ったから、そろそろいただきましょう。」


「は〜い。悠ちゃん、遠慮しないで座って、座って。」


お母さんと唯ちゃんにも勧められたので、私は恐縮しながら、そっと席につく。


それにしても、何を見ても美味しそう。正直に言えば、豪華さはない。でも、とにかく本当に美味しそうなお料理ばかり。


「悠、もう我慢の限界だろ?さぁ食べな。」


ちょっと、お父さんとお母さんの前で、なんて事言ってくれるの?でも付き合い始めてから、私の食いしん坊ぶりは、もう徹くんには、すっかりバレてしまってる。


「いただきます。」


お父さんの発声のあと、みんなで唱和して、私達は料理に箸をつける。


「美味しい。」


まずお味噌汁を一口飲んだ瞬間、私の口から、自然にその言葉が洩れる。


「あら、そう。ありがとうね。」


その私の感想に、お母さんが嬉しそうに私を見る。


それから、私達はいろんな話をしながら、本当に何を食べても美味しい料理を堪能した。


私が気づまりにならないように、お父さんもお母さんもいろいろ話し掛けてくれた。


正直、一種の面接を受けさせられてるのかな、とも思ったが、それはある意味覚悟はしてた。私は私でしかないから、素直に本当の自分を出すしかないんだから。


もっとも徹くんは、そんないろいろ悠のこと詮索するな。失礼だろって、怒ってたけど、私だって気になってたこと、いろいろ聞いちゃったから、おあいこだよ。


別にそんな話ばかりしてたわけじゃないし、楽しい時間を過ごさせて、いただいた。
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