Some Day ~夢に向かって~
「それとね。」
「はい。」
「徹と主人のこと。仲悪いの知ってるでしょ。」
徹くんに直接聞いてるし、さっきの夕食の時も実際2人は、ほとんど会話も交わさない有様。私は頷くしかない。
「信じられないでしょうけど、徹は小さい頃はパパっ子でね。パパ、パパって休日には主人にまとわりついて、2人で仲良くキャッチボールなんかしててね。それがあんなになっちゃうなんて、父と息子って難しいものね。」
そう言って、ため息をつくお母さん。
「お父さんは、徹さんが野球を続けることに、反対されてたと聞きました。」
「今でもそうなんだけど、主人は義父の言うことが絶対でね。会社を継げって言われて、あっさり承服したらしいの。当然、徹にもそうしてもらうつもりでいたら、頑として言うこと聞かなくて。」
「・・・。」
「徹が『父さんと俺の人生は違う』なんて、面と向かって言い放つもんだから、主人も『何を生意気な』って話になって。子供じみた意地の張り合いという面も否めないのよ。」
今度は苦笑いのお母さん。
「でも当たり前だけど、本当は主人だって、徹が可愛くて仕方ないの。あの子が肩の治療で1年も放浪してた時の費用も、一応私が援助したことになってるけど、とても専業主婦である私が右から左に出せる金額じゃなかった。」
そうだろうな・・・。
「結局は主人の了解なしじゃ、どうにもならなかった。むしろ、いい加減に止めさせて、帰って来させようって私は言ったんだけど主人は『あいつの好きなようにさせろ』って。」
そうだったんだ・・・。
「たぶん徹だって、本当はわかっているはず。でもお互いに知らん顔なのよね。」
「お母さんは、徹さんにどうして欲しいと思ってらっしゃるんですか?」
思い切って、私は聞いた。
「もちろん、私は徹の思い通りの道を進んで欲しいと思ってる。でもね・・・。」
「はい。」
「あの子が生まれた時、主人は本当に大喜びだった。私の手を握って『ありがとう。君のお陰で、俺は大きな人生の目標を持つことが出来た。俺はこれから、こいつに無事会社を渡すことに全身全霊を傾ける。見ていてくれ』ってね。その言葉を聞いてる立場としては、全面的に徹の味方って訳にはやっぱりいかないのよ。まさに板挟みよね。」
本当に困ったような表情で、そう言ったお母さんは、そのあと、表情を改めて、私を見た。
「でもね、悠ちゃん。」
「はい。」
「あなたは、いつでも、どんな時でも、徹の味方でいてあげてね。」
「もちろんです。」
力強くそう答えた私に、お母さんは嬉しそうに頭を下げてくれた。
「はい。」
「徹と主人のこと。仲悪いの知ってるでしょ。」
徹くんに直接聞いてるし、さっきの夕食の時も実際2人は、ほとんど会話も交わさない有様。私は頷くしかない。
「信じられないでしょうけど、徹は小さい頃はパパっ子でね。パパ、パパって休日には主人にまとわりついて、2人で仲良くキャッチボールなんかしててね。それがあんなになっちゃうなんて、父と息子って難しいものね。」
そう言って、ため息をつくお母さん。
「お父さんは、徹さんが野球を続けることに、反対されてたと聞きました。」
「今でもそうなんだけど、主人は義父の言うことが絶対でね。会社を継げって言われて、あっさり承服したらしいの。当然、徹にもそうしてもらうつもりでいたら、頑として言うこと聞かなくて。」
「・・・。」
「徹が『父さんと俺の人生は違う』なんて、面と向かって言い放つもんだから、主人も『何を生意気な』って話になって。子供じみた意地の張り合いという面も否めないのよ。」
今度は苦笑いのお母さん。
「でも当たり前だけど、本当は主人だって、徹が可愛くて仕方ないの。あの子が肩の治療で1年も放浪してた時の費用も、一応私が援助したことになってるけど、とても専業主婦である私が右から左に出せる金額じゃなかった。」
そうだろうな・・・。
「結局は主人の了解なしじゃ、どうにもならなかった。むしろ、いい加減に止めさせて、帰って来させようって私は言ったんだけど主人は『あいつの好きなようにさせろ』って。」
そうだったんだ・・・。
「たぶん徹だって、本当はわかっているはず。でもお互いに知らん顔なのよね。」
「お母さんは、徹さんにどうして欲しいと思ってらっしゃるんですか?」
思い切って、私は聞いた。
「もちろん、私は徹の思い通りの道を進んで欲しいと思ってる。でもね・・・。」
「はい。」
「あの子が生まれた時、主人は本当に大喜びだった。私の手を握って『ありがとう。君のお陰で、俺は大きな人生の目標を持つことが出来た。俺はこれから、こいつに無事会社を渡すことに全身全霊を傾ける。見ていてくれ』ってね。その言葉を聞いてる立場としては、全面的に徹の味方って訳にはやっぱりいかないのよ。まさに板挟みよね。」
本当に困ったような表情で、そう言ったお母さんは、そのあと、表情を改めて、私を見た。
「でもね、悠ちゃん。」
「はい。」
「あなたは、いつでも、どんな時でも、徹の味方でいてあげてね。」
「もちろんです。」
力強くそう答えた私に、お母さんは嬉しそうに頭を下げてくれた。