Some Day ~夢に向かって~
予備校のある日は6時まで、そうじゃない日は7時過ぎまで準備を進める。


そんな日が続いていたある日、いつものようにポスタ-造りに励んでいた私の所に実行委員の加瀬くんが近づいて来た。


「水木さん。」


「はい。」


「あれ、どう思う?」


苦々しい表情をした彼の視線の先には、先輩とその取り巻き女子達の姿が・・・。


「ひどいね、あれは。」


呆れたように言ったのは由夏。ワイワイ騒いでるだけで、とても作業が進んでるようには思えない。


「他の連中からも苦情が出てるんだ、なんとかしろって。」


「当然だよ、なんとかしなさいよ。」


由夏にそう言われた加瀬くんは複雑そうな表情を浮かべる。


「やっぱり俺が言うべきなんだよなぁ。」


「他に誰がいるのよ。」


「・・・言いづらいんだよ。」


「なんで?」


「同じクラスとは言え、先輩だしさぁ、それに有名人だし。」


「なに、それ?」


呆れたように言う由夏に、バツ悪そうに続ける加瀬くん。


「塚原も沖田も、先輩にはモノをなかなか言いづらいらしくてさ。そこで、水木さんに頼めないかと思って・・・。」


「えっ、私が?」


「水木さん、先輩と仲良さそうじゃん。だから・・・。」


「ちょっと待ってよ。そんなの悠が言うことじゃないでしょ。先輩に言えないなら周りの子達に言えば・・・。」


「いいよ、言ってくる。」


「えっ、悠。」


びっくりする由夏に構わず、私は歩き出した。
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