Some Day ~夢に向かって~
結局、その後、唯ちゃんは現れなかった。どっかで待ち伏せされてるかもよ、なんて由夏に冗談半分に脅かされたけどね。


なんかいろいろあって、ちょっと疲れて来ちゃったけど、元気出さないと。


その夜、自分を奮い立たせて、机に向かってると、携帯が騒ぎ出した。こんな時間に誰からかと思えば・・・。


「先輩?」


私は慌てて、通話ボタンを押す。


「もしもし。」


『こんな時間にゴメン。』


聞こえて来たのは、ややかすれ気味の先輩の声。


「いえ、大丈夫です。先輩こそ大丈夫ですか?」


『うん、熱なんて幼稚園以来出したことなかったんだけどな。でももう大丈夫だよ。なんかメ-ルくれてたみたいだけど、返信できなくてゴメン。約2日寝込んでる間に、膨大な数のメ-ルが入っててさ。さっき気がついた。』


「そんなのいいんです。」


『そのお詫びってわけじゃないんだけど、実は俺、今水木ん家の前から電話してるんだ。』


「えっ?」


驚いて、カ-テンを開けてみると、確かにマスク姿の先輩の姿が目に入る。


『こんな時間に失礼だとは、思ったんだけど、よかったら少し話せないかな?』


「わかりました、すぐに行きます。」


私は慌てて部屋を出る。


「お母さん、ちょっと友達来たから、外で話して来る。すぐに戻るから。」


「遠くに行っちゃ、ダメよ。」


「はい。」


お母さんに返事すると、私は玄関を飛び出した。
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