Some Day ~夢に向かって~
文化祭燃ゆ
文化祭2日目。我がクラスは相変わらずの盛況のようだけど、私は午前中のロ-テ-ションからは外れていたので、由夏と催しをまわることにした。


どのクラスも、部活も、イベントもそれぞれの創意工夫や主張が感じられた。前にも言ったように、ウチの文化祭は、今時としては決して派手ではないかもしれないけど、みんな決められた枠の中でも精一杯の力を出そうとしてる、いかにもウチの学校らしいと思う。


私達3年生にとって、卒業式を除けば、これが最後の学校イベント。この後は、もう受験に向かってまっしぐら、クリスマスもお正月もない。


あっという間の3年間だったけど、私は明協高校に入って、本当によかったな。少々気が早いかもしれないけど、そんなことを考えながら、私は最後の学祭を楽しんでた。


「そう言えば、悠。」


「うん?」


「花火、どこで見る?」


「えっ?」


憧れの人はいたけど、彼氏どころかボ-イフレンドと言えそうな子もほとんどいなかった私達は、去年も一昨年も後夜祭の花火を一緒に見た。でも、今年は・・・。


「どうしたの?」


なにか口ごもったままの私を、由夏は不思議そうに見ていたが、何かに気づいたかのような表情になった。


「ああ、まさか悠!」


「うん、実は先輩に誘ってもらってる。話があるって・・・。」


「当然2人きりだよね。」


「たぶん・・・。」


恥ずかしくなって、うつむいてしまった私の両肩を力強くつかむと由夏は、顔をほころばせる。


「なんだぁ、だから昨日から様子がおかしかったんだ。水臭いなぁ、そんな重大なことを黙ってるなんてさ。」


「ゴメン、なんか恥ずかしくて・・・。」


由夏に報告しなくちゃとは思ってたんだけど、照れ臭かったし、出来ればこのまま黙ってられないかな、なんて考えちゃってたのも事実。由夏、本当ゴメンね。


「とうとう悠にも春が来たかぁ。先輩が戻って来て1ヵ月ちょっとで、見事ハ-トをゲットしたね〜。うらやましい、おめでとう。」


「ちょっと待って、まだ先輩の話が何だかは・・・。」


「本気で言ってるの?後夜祭の花火に、話があるからって誘っておいて、告白以外の何の話があるのよ。」


「由夏、声が大きいって。」


慌てて由夏を制する私。確かに私もそう思ってる、だからずっと落ち着かないんだけど・・・。


でも由夏も言ってた通り、先輩と知り合ってまだ1ヵ月ちょっとくらいだよ。いろいろあったかもしれないけど、でもあまりに話がうまく行き過ぎてる気がする。ずっと憧れてた人から、こんなにあっさりと告白してもらえるなんて・・・。
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