Some Day ~夢に向かって~
甘かったなぁ。先輩の人気は、文化祭でよくわかってたはずなのに・・・。


加奈ちゃんはあんなもんで、引き下がってくれたけど、あの後も私はいろんな人から質問責めにあった。先輩もだ。


私は、教室を逃げ出すと先輩にメ-ルを打った。隣の席の人にメ-ルを送るなんて、おかしいんだけど、とても直接話を出来る状況ではなかったんだ。


『先輩、ごめんなさい。昨日約束したことなんですけど、私やはり遠慮させてもらいます。勉強の為とは言え、今、私が先輩のお家にお邪魔するのは、やっぱり変だと思います。いろいろな誤解を招くことは、先輩にご迷惑をかけることにもなります。力になれなくて、本当にすみません。』


昨日の夜、先輩から家で一緒に勉強しようと誘われた時、私はさすがにためらった。だって私達は付き合ってるわけでもないし・・・確かにみどりさんから先輩のことをよろしくとは言われたし、私だって先輩の役に立つことであれば、出来る限りのことはしてあげたいけど、これはいくらなんでも話が飛躍しすぎだよ。


先輩に押し切られる形で、1回はウンと言ってしまったんだけど、やっぱり無理がある。私の気持ちは、もう揺るがない。


返信が来たのは、結局家に戻ってからだった。


『俺のわがままで、水木にすっかり迷惑をかけてしまった。すまなかった、勉強頑張ろうな。でも、どうしてもわからないことがあったら、電話させてくれよな。』


『わかりました、その時は遠慮なく、電話下さい。』


短く返信して、私は携帯を置いた。


(あの時、雨が降らなかったら、正々堂々と先輩の家に行けるようになってたのかな・・・?)


私は1つため息をつくと、机に向かった。
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