Some Day ~夢に向かって~
文化祭から2週間経ったってことは、あのことは、もう3週間くらい前の話になる。
ウチのクラスの模擬店に来て、先輩に追い返された唯ちゃんは、次の日に謝りに来たらしい。でもちょうどその時、私は先輩と校内に宣伝に出てて、会えなかった。
「今更って思ってますよね?」
一緒に来た屋上、入るなり唯ちゃんは言う。
「すれ違いで水木先輩に会えなくて。あとでまた、謝りに来ようと思ってたんですけど、なかなかタイミング合わなくて、そのうちにだんだん来にくくなっちゃって・・・。」
そこまで言うと、唯ちゃんは私にペコリと頭を下げた。
「先輩、ごめんなさい。後輩のくせに、あんな生意気な態度とって。反省してます。あと、こんな時期まで謝りに来られなくて、本当にすみませんでした。」
一所懸命に謝ってくれてるのが伝わって来て、私は笑顔になる。
「唯ちゃん、ありがとう。もう私はなんとも思ってないから。それに先輩を誤解して、失礼なことを言ったのは、私だっておんなじだもん。」
私のその言葉に、硬かった唯ちゃんの表情が、ようやく少し和らいだ。
「優しいんですね、水木先輩は。お兄ちゃんの言ってた通りです。」
「そんなことないよ。」
正直言うと、このところいろんなことがあり過ぎて、唯ちゃんとのことは忘れていた。だから、こういう機会が出来た今、もうこれでいいんだ。
「それより、その水木先輩って言うのは、もう止めてくれないかな。出来たら名前で呼んで欲しいな。」
部活に入ってなかったから、先輩と呼ばれることに慣れてなくて、くすぐったかったのと、みどりさんの真似をして、私はそんなことを言ってみたんだけど
「じゃ、悠ちゃんって呼んでもいいですか?」
(えっ、いきなり悠ちゃん呼ばわり?)
これにはさすがに戸惑っていると
「悠ちゃん、お兄ちゃんと仲良くしてあげてください。」
「はい?」
「私、あれからずっとお兄ちゃんに口利いてもらえなくて。でも久しぶりに私に話し掛けてきたと思ったら、『明日水木が家に来るから。お前、まだ水木にまだ謝れてないんだろ?俺がチャンス作ってやったんだから、ちゃんと謝れよ。』ってすごく嬉しそうに。」
「・・・。」
「でも、結局ダメになって、メチャクチャ落ち込んでました。だからお願いします。じゃ、失礼します。」
いきなり唯ちゃんにちゃん付けで呼ばれた驚きと、その言い残していった内容に、私は呆然と彼女を見送るだけだった。
ウチのクラスの模擬店に来て、先輩に追い返された唯ちゃんは、次の日に謝りに来たらしい。でもちょうどその時、私は先輩と校内に宣伝に出てて、会えなかった。
「今更って思ってますよね?」
一緒に来た屋上、入るなり唯ちゃんは言う。
「すれ違いで水木先輩に会えなくて。あとでまた、謝りに来ようと思ってたんですけど、なかなかタイミング合わなくて、そのうちにだんだん来にくくなっちゃって・・・。」
そこまで言うと、唯ちゃんは私にペコリと頭を下げた。
「先輩、ごめんなさい。後輩のくせに、あんな生意気な態度とって。反省してます。あと、こんな時期まで謝りに来られなくて、本当にすみませんでした。」
一所懸命に謝ってくれてるのが伝わって来て、私は笑顔になる。
「唯ちゃん、ありがとう。もう私はなんとも思ってないから。それに先輩を誤解して、失礼なことを言ったのは、私だっておんなじだもん。」
私のその言葉に、硬かった唯ちゃんの表情が、ようやく少し和らいだ。
「優しいんですね、水木先輩は。お兄ちゃんの言ってた通りです。」
「そんなことないよ。」
正直言うと、このところいろんなことがあり過ぎて、唯ちゃんとのことは忘れていた。だから、こういう機会が出来た今、もうこれでいいんだ。
「それより、その水木先輩って言うのは、もう止めてくれないかな。出来たら名前で呼んで欲しいな。」
部活に入ってなかったから、先輩と呼ばれることに慣れてなくて、くすぐったかったのと、みどりさんの真似をして、私はそんなことを言ってみたんだけど
「じゃ、悠ちゃんって呼んでもいいですか?」
(えっ、いきなり悠ちゃん呼ばわり?)
これにはさすがに戸惑っていると
「悠ちゃん、お兄ちゃんと仲良くしてあげてください。」
「はい?」
「私、あれからずっとお兄ちゃんに口利いてもらえなくて。でも久しぶりに私に話し掛けてきたと思ったら、『明日水木が家に来るから。お前、まだ水木にまだ謝れてないんだろ?俺がチャンス作ってやったんだから、ちゃんと謝れよ。』ってすごく嬉しそうに。」
「・・・。」
「でも、結局ダメになって、メチャクチャ落ち込んでました。だからお願いします。じゃ、失礼します。」
いきなり唯ちゃんにちゃん付けで呼ばれた驚きと、その言い残していった内容に、私は呆然と彼女を見送るだけだった。