Some Day ~夢に向かって~
週が明けた。11月は目の前、センター試験を受けるなら、もう3ヶ月ない。推薦入試を受ける子の話もチラホラ聞こえて来るようになった。


そんな中、私は先輩と約束通り、放課後に勉強会を始めた。


「ねぇ先輩、私も一緒にいいですか?」


と加奈ちゃんが加わったのは想定の範囲内。前の約束もあるし、なんと言っても公務員を目指している程の秀才、加奈ちゃんの存在は、私も心強い。


「じゃ、私も付き合うか。」


と言い出した由夏はデザイナ-志望。


こうして始まったにわか勉強会に、クラスのみんなは驚いたみたいだけど、今度は2人じゃないし、変なことは言われないはず。


「先輩、両手に花どころの騒ぎじゃありませんね。」


「うるさいよ、聡志。」


そんな中、冷やかし気味に声を掛けてきた塚原くんを由夏がにらむ。


「ま、お前は賑やかしでしかないけどな。」


「なによ!そんなこと、あんたに言われたくないわよ。」


たちまち言い合いになる2人に


「あれ?仲いいんだね、2人。」


と加奈ちゃんが驚いたように言うけど


「冗談じゃねぇよ。」「冗談言わないでよ。」


とハモるから笑える。この2人が、実は幼なじみという事実はあまり知られていないし、普段ほとんど話したりしないから、たまに絡むと驚かれることが多い。


「塚原、先輩の邪魔になるから、もう行こうぜ。」


とりなすように、そう言ったのは、恐らくは2人の間柄を知ってるであろう彼の「旦那さん」の沖田くん。


「わかったよ。じゃ、先輩お先です。由夏もどうせ邪魔になるだけだから、早く帰ってマンマでも食って寝ろよ。」


「なんですって!」


由夏の怒りの表情に、首をすくめるようなポ-ズで、塚原くんは教室を出て行く。


「あいつ、今度ぶっ飛ばしてやる。」


と怒る由夏を見て、加奈ちゃんはクスクス笑っている。だけど、先輩はそんな周りを全く気にする様子もなく


「なぁ、水木。ここんとこ、どうやって解くんだ?」


「あっ、ここはですね・・・。」


と私に質問してくる。


「さすがの集中力だね。」


「うん・・・。」


その横で、加奈ちゃんと由夏は感心していた。
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