Some Day ~夢に向かって~
勉強会は放課後から6時まで、予備校がある日はその足で、なければ校門で解散、そんな感じだ。


「先輩、大丈夫です。自分で言うほど、わかってなくないですよ。ね、加奈ちゃん。」


「うん。だから先輩、自信持ちましょう。」


「私の方がよっぽどヤバいかも。」


なんて励ましてくれる3人の後輩達の優しさが、今は心にしみる。


だけど、そんな後輩達だって、受験生であることには変わりはない。俺のことばかりに構っていることは出来ないのは当たり前・・・のはずなのに、水木だけは毎日付き合ってくれる。嬉しいけど、心配にもなって来る。


「確かに俺が頼んだことだけど、これじゃ自分の勉強が、ほとんど出来ないじゃん。」


「大丈夫です。家庭教師見つかるまでっていう約束ですから。それにこうやって一緒に先輩と問題解いてると、結構自分の復習になってるんです。」


笑ってそんなことを言ってくれる水木がたまらなく愛しくて、ここが教室でなければ、抱きしめてしまいたくなる。


(家庭教師の話、なかったことにしちまおうかな。)


思わず、そんな自己中なことを考えてしまった。
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