Some Day ~夢に向かって~
「なぁ、水木さん。」


そんなある日、私は加瀬くんに声を掛けられた。


「なに?」


「ちょっといいかな?話があるんだ。」


「私に?なに?」


「ここじゃ、ちょっと・・・。昼休み、時間くれないかな?」


「うん、いいけど・・・。」


「ありがとう、じゃあ後でね。」


そう言うと加瀬くんは離れて行く、すると途端に寄って来る由夏。


「どうしたの?」


「うん、なんか加瀬くんが私に話があるんだって。」


「へぇ、コクられるんじゃない?」


「まさか・・・、でも何だろう?」


冷やかす由夏の言葉は否定したけど、文化祭が終わってからはあまり話すこともなくなってた加瀬くんが私に何の用なんだろう?


昼休み、いつものように由夏と加奈ちゃんと屋上でお弁当を食べた後、私は加瀬くんが指定してきた場所に向かった。あまり人気のないところだから、気を付けなよと2人には言われたけど、ね・・・。


「お待たせ。」


私が行くと加瀬くんは既に待っていた。私の姿を見ると、加瀬くんはホッとしたように表情を緩めた。


「ゴメン、こんな所に呼び出して。でも静かなところで話がしたかったから・・・。」


「どうしたの?一体。」


そう問いかける私の顔を見て、一瞬、間を置いたあと、加瀬くんは言った。


「このままでいいのか?水木さん。」


「えっ?」


「俺はもう黙って見てられないよ。」


なんのことだかさっぱりわからない私が戸惑っていると、加瀬くんは語気を強める。


「このまま、白鳥さんに利用されてて、それで水木さんはいいのかよ?」


「先輩が私を・・・?」


(先輩が私を利用って、どういう意味?)


「なんで水木さんが、自分のことを犠牲にして、毎日あの人の勉強みてやらなくちゃいけないんだよ?」


「それは・・・。」


頼まれたから、なんだけど。でも、そう真正面から聞かれると、ちょっと答えに困るのも確か・・・。


「水木さんはあの人の何なんだ?あの人は水木さんのなんなんだよ!」


「加瀬くん・・・。」
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